杉本農園
府中丸ナス
福井県
「ここのナスでないと。」
京料理で重宝される黒ダイヤ-
福井県越前市庄田町の、山々を望むのどかな風景の中にある杉本農園を訪問した。
生産者の少ない伝統野菜
古くから伝わる伝統野菜で、数の確保が難しい「殿様」という品種の丸ナスを育て「府中丸ナス」という名で出荷している。この地域は昔から丸ナスの食文化があり、煮炊きするのもこのナスと決まっている。肉厚で、調理すると甘みが増し、煮崩れしにくい。
今はもう2人しか栽培していないという伝統野菜をご夫婦で守り育てている。
杉本農園の丸ナスの魅力
府中丸ナスは京都の加茂ナスと似ているが、よりまん丸で真円に近い。
杉本さんの丸ナスは、『良いナスのしるし』とされる美しい形と黒光りするほどの濃い紫色、そしてツヤに特徴がある。
「黒ダイヤ」とも呼ばれて評判が高く、京料理で重宝され、地元にはなかなか卸すことができない貴重品となっている。
訪問したこの日も、地元の人が「ここのナスでないと。」と直接買いに来られていた。
一ヶ月以上長く収穫できる理由
杉本さんとアルム農材とは20年来のおつきあい。
当初、成り疲れを防ぐために色々な資材を試してみた結果、苗に使って根張りが良く、一作を通じてナスの木の元気が良いアルム農材に注目した。使い続けていくと、ナスの老化が遅く、秋の終わりに霜が降りる頃まで優に1か月は長く収穫することができた。
大切に育てたナスは市場価格100円なら150円、200円なら300円と、常に市場価格より5割増しで売れた。
今までに、県知事賞、市長賞、組合長賞などを全部で10回以上受賞され、京都の加茂ナス生産者が大型バスで見学に訪れるほどだった。
「『杉本さんのナスはどうして違うのか?』『あんたのでナスでなくてはダメだ。』と言われるのが何より嬉しい」
杉本さんの笑顔がこぼれた。
- しっかりと誘引された枝には、この夏も元気につぎつぎと美しい丸ナスができ始めていた。