学術的裏付け
アルム漢方農材は1985年から研究、開発。そして実証効果の取得に取り組んでいます。
アルム農材の学術顧問
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八木 晟 博士
薬学博士:福山大学名誉教授
日本薬学会理事・日本生薬学会評議員
国際アロエ科学協議会(IASC)・日本生薬学会名誉会員
一般社団法人日本アロエ科学協会特別顧問。薬学博士。福山大学名誉教授。専門分野は生薬学。消化器内科・肝臓学研究(英文誌)の編集長。海外の研究者・医療機関との交流も深く、特にアロエについては40年以上にわたる研究実績があり、日本のアロエベラ研究の第一人者として活躍。現在、少子・高齢化社会のQOLに役立てる天然物を目標に、アロエベラや漢方薬由来の農材の研究を行っている。 - アルム農材の開発当初から、薬学博士で漢方の権威である八木博士に、製造及び効果検証をいただいています。
八木先生が監修された本『植物エキスで防ぐ病気と害虫 つくり方と使い方』
では、アルム農材についてもご紹介くださいました。
アルム漢方農材の学術的解説
開発の経緯
12種類生薬の選定
漢方薬はその永い歴史の中で、さまざまな作用を持つ植物、動物、鉱物がそれぞれの時代を反映した病気の症状に応じて、東洋医学の理論に基づいて選ばれた伝統医薬品です。漢方薬について書かれた本「本草書」で有名な「神農本草書」があります。その中に365種の生薬がありますが、その薬の性質について分類されています。
アルム農材の原料となる12種類の生薬は上薬:甘草、大棗、陳皮、中薬:当帰、川キュウ、生姜、葛根、黄ゴン、下薬:大黄、苦参、黄柏、蕃椒で、それぞれをバランス良く配合しています。
上薬 : 生命を養うことを主とする不老長寿の薬
中薬 : 人に応じて無毒と有毒とがあり、適宜配合して病を防ぎ体力を養う
下薬 : 病を治すことを主とするが、毒性もあるので長期服用を禁ずる
製造工程について
アルム農材に含まれる生薬12種は日本薬局方普通薬で約2年間の熟成発酵期間を経て製品化されます。これらの生薬はただ配合するのでなく漢方薬(湯液)の場合と同じく長期間密閉暗所で水抽出を行っています。この水溶液を長く密閉した状態で保存することにより強い酸性となり(pHが3~4)、表面には薄い膜ができて安定した状態を保つようになります。この発酵水溶液には、構成生薬の内生菌であるPichia membranifaciensという通性嫌気性菌が発酵することで、短鎖有機酸;酢酸、プロピオン酸、酪酸、を発酵産生したことが判明しています。
通性嫌気性発酵にかかわるピキア・酵母菌について 通性嫌気性発酵に係るPichia membranifaciens (イースト・酵母菌)について
インドール酢酸産生ピキア属酵母菌について
沼地自生の芝草に見られる胞子形成酵母菌の一種Pichia spartinaeは植物成長ホルモンの一種インドール酢酸(IAA)を産生します。(文1)さらにタイ国自生の多くの植物葉の表面に存在するイースト菌114種のうち36種のイースト菌(Pichia, Ascomycotaなど)がIAA を産生するという報告があります。(文2)
文献
- Nakamura T., et al. Identification of indole-3-acetic acid in Pichia spartinaes, as ascosporogenous yeast from Spartine alterniflora marshland envelopment Mycologia 1991; 83(5): 662-664.
- Limtong S., et al. Yeasts from phylloplane and their capability to produce indole-acetic acid World J. Microbial Biotechnol. 2012; 28: 3323
安全の証明、有機JAS適合資材として農薬登録
アルム漢方農材「アルムグリーン」は、農林水産省農薬登録を取得し、かつ有機JAS適合としても認定されたユニークな天然資材です。
漢方生薬から抽出した「アルムグリーン」は、環境への影響や毒性、効果確認の厳しいチェックを受け、天然物質由来農薬(JAS法別表2)として、それまでなかった漢方由来の資材として唯一農薬登録を取得しました。混合生薬抽出物液剤として認定されているのは「アルムグリーン」のみです。
有機JASとは、農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないで、自然界の力で生産された食品に許可されている表示で、農産物、加工食品などに使用されます。
「アルムグリーン」は、その有機農産物の栽培に使用可能な資材としても認定されています。
※アルム漢方農材商品群の中で、農薬登録を取得しているのは「アルムグリーン」のみで、使用対象は芝(根の伸長促進)・薔薇(挿し木の発根促進)・イチゴ(初期育成の促進)です。それ以外の作物にはアルム純などをご使用ください。
農薬登録登録番号 No:17851
農薬の名称 アルムグリーン 試験結果「(財)日本植物調節剤研究協会試験成績より」
対象: 芝
初期成育を中心として芝の質が好ましい方向、つまり根部の 生育促進によりT/R比が減少して各種環境ストレスに対して 強い形に推移した結果となり、本剤の実用性が認められた。 ・本剤のベンクロスベントグラスに対する施用効果は、明らかに認められ、春期処理2回程度で効果が速効的に認められる。
対象: イチゴ
花芽分化は処理区がやや早く、開花及び収穫開始日が無処理区 に比べて2日早まった。 ・育苗期のみ処理すると早期収量増大の効果が高く、本画で処理 すると後期の収量が上がるため総収量増大の効果があるもの と考えられる。育苗期処理により年内の収量が増加する傾向が認められた。
対象: バラ
本剤の育苗期+生育期処理により発根促進および初期成育の 促進効果が見られた。 ・挿し木3週間後(4回目散布直前)では、水散布に比べて根重、根 長が大きく根数もやや多く、発根率も約1割近く上回った。
挿し木43日後では本剤処理による発根促進効果が認められた。
肥料登録登録番号 生第91016号
農薬の名称 アルム真 特徴 - 必須微量要素(ミネラル)が漢方発酵液の力で素早く吸収されます。
- 光合成を促進し、力要素を増やします。
- 植物の細胞を強化し活発にします。
- 酵素の働きを促進します。
- 全て天然物なので人や環境を汚しません。
有効性 キレート化された肥料成分で吸収が早い。
有機JAS適合資材
適合商品 アルム凛、アルム純、アルム顆粒、OKY-999、アルム真、アルム光、アルムグリーン、畑の美食、Dr.放線菌 施用効果 - 植物体防御機能を強化し、作物を保護する。
- 根圏を守り、力強い植物体に育てる。
- 温暖化による様々な障害に対応。
- 土壌環境の整備
特徴 幅広い作物に対応し、施用ステージにより確実な効果をもた らす豊富な商品郡で、育苗~収穫後期まで、トータルで減農薬を推進し、付加価値の高い生産をバックアップ。
アルム漢方農材とは
漢方生薬を発酵、熟成させたエキスを製品化した漢方農材。原料は全て日本薬局方による生薬を使用しています。
トリコデルマ菌の土壌病害への効果について
学術的裏付け
土壌病害は土壌に棲息する糸状菌、ネコブ菌、ウイルスなどが宿主植物に感染することにより起きる主要な原因の一つであり、防除困難な病害である。
特に、単一作物・品種の連作に伴うことによる土壌病害の発生が目立つ。その病原菌として、土壌糸状菌のフザリウム菌(Fuzarium) とリゾクトニア菌(Rhizoctonia)菌が大半を占める。
病原菌の特定には分類学上の位置を決める必要がある。土壌糸状菌の中で、フザリウム菌や リゾクトニア菌のように不完全世代が生活環境の大半を占める。
リゾクトニア属菌には病原性と非病原性のものがあり、なかでもリゾクトニア・ソラニ菌(R. solani:紋枯病菌)は農業上特に重要で、連作や短期輪作 (同じ耕作地一定年限ごとに 循環して違った種類の作物を一定の順序に栽培すること) により、発病が助長される(1)。
ところで、土壌中にはリゾクトニア属菌にみられる土壌病原菌の育成を抑える菌や、栽培植物の生育を促進する菌などの有用微生物が存在する。その中で、活用されている微生物の一つに、トリコデルマ菌(Trichoderma)がある。トリコデルマ菌は古くから有用菌として農業分野で使われてきた糸状菌(カビ)の仲間で、多くの糸状菌に寄生することで知られている。
農業分野への生物活性を持つTrichoderma spp.菌の適用(2)
トリコデルマ菌は土壌中、特に栽培植物の根の周りに施用することで、根の表面を覆うように素早く増殖し、栽培作物に害を及ぼすリゾクトニア菌を寄せ付けず増殖しにくい環境を形成する。ただし、トリコデルマ菌の働きは土壌pHが8以上になると低下する。
トリコデルマ菌は土壌・根圏の微生物相を改善して、作物の根の健全な成育を促進し、対象作物の施用時間を選ばず栽培期間の根の健全な育成を促進する。以下にトリコデルマ菌による植物病気の管理 (図1) をしめす。
図:G.Siemering, et al. The value of Trichoderma for crop production, 2016.
実際の生産現場では多くのトリコデルマ菌資材が使用されており、この菌の必要性、メリットが証明されていることでもあるが、特に病原性糸状菌への拮抗性、線虫への効果、そして菌の有機物分解機能による植物の栄養吸収促進などがある。
特にこの菌の特徴的なところは、地上部を含めた植物全体に誘導される抵抗性(誘導全身抵抗性)能力を持っていることで、いわゆるプライミング状態(植物病害抵抗性)を強化するところにある。
また、有用微生物には概ね言えることではあるが、トリコデルマ菌は土壌の化学性を向上させるという報告もある。有用微生物の多様性を図ることで土壌化学性が向上し、可給態成分が緩やかではあるが増える傾向にある。いわゆる地力の増強となるのである。これは外部より投入する肥料の軽減、化成肥料による弊害の軽減にもつながる。
以上のように、有用微生物の利用はさまざまな有効性を示しており、化学肥料や農薬の価格高騰や、環境配慮の面からも今後の役割りは大きいと考える。
一つ注意点は、キノコ菌に対して(特にシイタケ栽培)、トリコデルマ菌は成長を阻害する重要病害(トリコデルマ病)となっているので、使用の際には近隣への注意が必要である。
参考文献
- 内藤繫雄 リゾクトニア菌による病害 植物防疫57; (1):32 (2003)
- Zin NA, Badaluddin NA Biological functions of Trichoderma spp. for agriculture applications Annals of Agricultural Science 65(2) 168-178:2020