連作障害に有用なトリコデルマ菌
古くから農業で使われていたトリコデルマ菌
連作障害の主要な原因の一つは、土壌に棲息する糸状菌(フザリウムとリゾクトニア菌)、ネコブ菌、ウイルスなどが宿主植物に感染することにより起きます。これは防除困難な病害です。
リゾクトニア属菌には病原性と非病原性のものがあり、なかでもリゾクトニア・ソラニ菌(紋枯病菌)は農業上特に重要で、連作や短期輪作 (同じ耕作地一定年限ごとに 循環して違った種類の作物を一定の順序に栽培すること) により、発病が助長されます(1)。
土壌中にはリゾクトニア属菌にみられる土壌病原菌の育成を抑える菌や栽培植物の生育を促進する菌などの有用微生物が存在します。その中で、活用されている微生物の一つがトリコデルマ菌です。トリコデルマ菌は古くから有用菌として農業分野で使われてきた糸状菌(カビ)の仲間で、多くの糸状菌に寄生することで知られています。
農業分野への活性を持つトリコデルマ属菌
トリコデルマ菌は土壌中、栽培植物の根の周りに施用することで、根の表面を覆うように素早く増殖し、栽培作物に害を及ぼすリゾクトニア菌を寄せ付けず増殖しにくい環境を形成します。
ただし、トリコデルマ菌の働きは土壌pHが8以上になると低下します。
トリコデルマ菌は土壌・根圏の微生物相を改善して、作物の根の健全な成育を促進し、対象作物の施用時間を選ばず根の健全な育成を促進します(2)。
Dr.トリコ菌: 高密度トリコデルマ菌資材 (有機JAS別表適合商品)
アルム農材では、自然界より採取したトリコデルマ菌を、独自の製法で10の8乗以上の密度で製品化しました。
厳しい試験に合格した有機JAS別表適合商品で高密度です。リゾクトニア等の病原性糸状菌に抵抗性があります。
土壌病害や連作障害の対処法として利用できますので、お困りの際はお試しください。
参考文献
(1)内藤繫雄 リゾクトニア菌による病害 植物防疫57; (1):32 (2003)
(2)Zin NA, Badaluddin NA Biological functions of Trichoderma spp. for agriculture applications Annals of Agricultural Science 65(2) 168-178:2020
薬学博士:福山大学名誉教授
日本薬学会理事・日本生薬学会評議員
国際アロエ科学協議会(IASC)・日本生薬学会名誉会員
一般社団法人日本アロエ科学協会特別顧問。薬学博士。福山大学名誉教授。専門分野は生薬学。消化器内科・肝臓学研究(英文誌)の編集長。海外の研究者・医療機関との交流も深く、特にアロエについては40年以上にわたる研究実績があり、日本のアロエベラ研究の第一人者として活躍。現在、少子・高齢化社会のQOLに役立てる天然物を目標に、アロエベラや漢方薬由来の農材の研究を行っている。